9/30
この日はとんでもなく綺麗な三日月が出ていた。ちょうど傾いて赤みを帯びてきた、スパンコールにありそうな形。あんなものが空に光っているなんて、と嘘くさくて面白くなってしまった。
スーパーでドラゴンフルーツが売っていた。厳しい形とけばけばしい色。無性に食べたくなり、買ってしまった。
皮と中身の印象は異なり、ものすごく乱雑な種の入り方をしているし、全く食欲の湧かない色合いをしている。こんな鉱物があるんですよ、と言われたら信じてしまうかもしれない。中身が無彩色なのも良くないのかも。
付属の食べ方を見てみると、4等分すると皮が綺麗に剥けるとのことだった。実際、するんと綺麗に剥けた。これは楽しいかもしれない。味の方はというと、皮の側から食べたのが良くなかったのかもしれないが、甘い!とも酸っぱい!ともならない。南国っぽいフルーティーさはあるものの、かなり薄いというか、生ぬるい味がする。おいしいものではない。ライチを水で3倍に薄めたような、まくわうりの親戚みたいな味。期待していた味ではなかったものの、満足感が得られてよかった。
2020年の映画『mellow』を観ることにした。大きい起伏もないけれど落ち着いた雰囲気の映画で、寝しなに観るのにちょうどいい作品だった。映画を観るぞ!という気持ちで観たのなら物足りないかもしれない。
ざっくり説明してしまうと、花屋を営む主人公の青年がモテまくるという身も蓋もない話だ。告白シーンは5回ほどあるものの、作中で成立した告白はひとつもなく、恋愛映画という括りにありつつも不倫や性生活に関連することは何一つ描かれない。プラトニックすぎるというか、ファンタジーを貫き通している感じがある。そこが気に入ったのかもしれない。中学生の女の子が後輩女子2人に告白され、両方振った挙句「今度一緒にご飯いこっか」と言うシーンがある。そんなことある?とは思うが、恋愛はありつつも恋愛に縛られない距離感というものがなんとなく居心地良くさせられた。
主人公が小学生の姪や、中学生の女の子と対話するシーンが度々あり、階段など段差のある土地で目線が同じになるように撮影されるシーンが好きだし、姪に対する距離感がとてもいい。恋愛一辺倒かと思うと、シュールなギャグのような、変な夫婦に逆ギレされるシーンもある。
主人公が毎日のように通う、作中で重要な場所とされるラーメン屋がある。絶対に重要なのに、そこで出されるラーメンが全くおいしそうに見えないのもすごい。
映画を観たからかはわからないが、寝付けなくなってしまったのであたりを散歩することにした。この季節は夜になると、あたりが金木犀の香りに満ちていて嬉しくなってしまう。9月の夜は涼しい。思い立って、防寒用のパジャマから普通の春秋用の薄めのパジャマに着替えてみたところ、よく眠ることができた。私が思っていたより暑かったらしい。
9/29
散歩をした。いつもと特段変わった道ではないのに、知らない植物がたくさんあった。
マメ科の可愛らしい花。独特な色の立派な豆がなっている。おそらくクサネムという種類。数日後、稲刈りと共に刈り取られていた。
シソ科っぽい花。ヒメジソかな?と思うけど自信がない。
どことなく蕎麦っぽい花。おそらくミゾソバだと思う。別名が「ウシノヒタイ」というらしい。広そうな名前だ、と思っていたら、どうやら葉の形が牛の顔に似ている故の命名らしい。特に広くはなかった。
野生化した朝顔のような気がするが、よくわからない。
もうすぐ展示替えになってしまうので、行きたかった美術館に向かうことにした。展示は、4人の作家の作品がそれぞれ飾ってあるものだった。それぞれ油彩やエッチング、版画、鉛筆画と方向性が様々で、理解できる絵もあれば全く理解できないものもあった。
特に印象に残っているのは鉛筆で描かれた指揮者の絵と、版画の柿の木が描かれているであろうものだ。
前者は、靄のような空気の中に指揮者が立っているが、顔だけが際立って鮮明に描かれている。大きいサイズの絵ということもあり、そこに実在するかのような威圧感があって目が離せなくなってしまった。どきどきしてよかった。この人の絵は線の流れによる濃淡の付け方が、綺麗な3Dモデルのポリ割りみたいになっていて、整っている絵なんだな……と実感した。
後者は灰を背景に銀の丸や黒の線、その上に鮮やかなオレンジの丸が幾つもついている絵だった。無彩色ゆえに鮮やかな丸の配置が目をひく。配置的におそらく夜の、月を背景にした柿の木だろうな、と思われる。静かで冷たくて良い絵だった。同じ作者の、すすきの生えた野原を銀色の大きな月が照らしているポストカードを買い、部屋に飾った。
近くに地域の資料館のようなところもあったので、そちらにも入ってみることにした。最初のコーナーでは、布を型染めにする型紙が展示されており、海老と銭がくり抜かれた型紙が目についた。随分とご機嫌な柄だ。身につけたら金運が上がるかもしれない。歴史関係については正直ピンとこない資料が多かった。
地元で掘り出された鉱物や、化石や、土器などの自然史・考古学あたりの史料は見飽きることがなかった。他の鉱物に比べて雪花石膏の原石が丸みを帯びているところとか、カモシカの大きな剥製の毛流れとか。土木工事で木の運搬に使う船のような道具「修羅」を「すら」と発音しているらしいことも面白かった。
花火が打ち上げられていた。夏の終わりの花火なのか、秋の花火なのかは見当がつかなかった。部屋の電気を消して、紅茶を飲みながら眺めた。
9/28
この日は、弟を一日連れ回す予定の日だった。手始めに、朝からコメダ珈琲店でモーニングを頼んだ。私も朝に訪れるのは初めてだったのだが、どうやら食パンとルーブルパン、茹で卵と卵ペーストと餡子、バターとジャムが選べるらしい。あんバターの組み合わせにしてみた。
他にも、弟がカツパンを頼んでいたので味見させてもらった。4等分にしてあるが、一切れだけでもマックのハンバーガー1個相当のボリュームがある。以前みそカツパンを頼んで油っぽさとカツ部分の成形肉感にテンションが下がってしまったのだが、カツパンはそのようなことがなかった。控えめなソースと辛子マヨとサクサクで柔らかいカツがおいしい。次は自分で頼んでしまうかも。
植物園にも出向いた。先日も訪れたのだが、晩夏と秋とでは趣がかなり変わっていた。
イヌサフラン。黄色からピンクへのグラデーションが綺麗。
知らない蝶1。調べたところウラナミシジミっぽい。鮮やかな青が目を引く。
知らない蝶2。ミドリヒョウモンのメスっぽい。似た種類の蝶が沢山飛んでいた。
綿。実際に生えているところを見るとかなり面白い。
前回訪れた時はジャコウアゲハが飛んでいたり、蚊の過ごしやすい気候で早々に退散せざるを得なかったのだが、この日はとんでもない量のトンボがいた。秋だ。また、金木犀が咲き始めたらしく、甘い香りがあたりに漂っていた。
大きい本屋にも立ち寄った。見かけた本に『22時の冷蔵庫 小さな夜のおやつレシピ44』というものがあった。レシピ本とエッセイの中間みたいな本で、余白も多いけれど眺めるのにちょうど良さそうだった。そこまでお金を使う気分ではなかったので、覚えていたら次の機会に購入したい。
GINZA特別編集 22時の冷蔵庫 小さな夜のおやつレシピ44 (MAGAZINE HOUSE MOOK)
カフェにも行った。お茶の種類が異様にあるのでお気に入りのお店だ。パンケーキもおいしいので、一度弟を連れてきたいと思っていた。前回は凍頂烏龍茶を頼んだ気がするので、私は東方美人茶とキャラメルバナナパンケーキを頼んだ。弟はベトナムコーヒーとダブルストロベリーパンケーキとかだったと思う。
東方美人茶は、金木犀のような香りがして飲みやすいお茶だった。弟のところに運ばれてきたベトナムコーヒーは、抽出が終わったらコーヒー氷と練乳らしきもの入ったカップの中に入れてくださいね、とのことだった。味見させてもらったが、コーヒーの味も練乳の味も濃く、とても美味しいけどなんとも形容しがたいものだった。
下の写真はキャラメルバナナパンケーキ。キャラメルアイスとゆるいクリーム、バナナがのせられている。パンケーキもふわふわなので飲むように食べることができる。
弟を一日連れ回したのち、偶然訪れていた叔父に「庭に大きい実がなっている」と言われた。見てみると、紫とも緑ともつかない、大きい実が2つもなっていた。あけびだ!家でなるのは初めてだ。割れると虫が入るので、切り落として追熟させた方がいいらしい。下の写真は夜に撮影されたもの。食べるのが楽しみだ。
夜になってから気がついたのだが、外に出るとものすごく金木犀の香りがした。近所に植えられているものも花盛りらしい。窓を開けて眠ったら楽しいかもしれない。
9/26
秋になるとほうじ茶が毎年コンビニの棚に並んでいる。なんで秋なんだろう、と気になり飲んでみることにした。確かに穀物っぽい香ばしさが、秋の味なのかも!と納得してしまった。稲刈りのときの匂いに似た雰囲気がある。
今日は弟が帰ってくる日だったので、朝からウキウキでたくさんのご飯を作った。炊飯器の予約を夕方にセットして、鳥手羽を煮て鯵の開きを焼いて、ひじきを人参と和えた。たたききゅうりも作ろうとしたが、家に程よい綿棒がなかったので、1.8ℓめんつゆ容器を両手で持ち、底で打ちつけた。叩くことはできたが、キッチンから「ドゴッドゴッ」という異音がするため、もう少し音がしなさそうなところで叩くのがいいのかも。
以前B6サイズで10月始まり、月毎と週毎の各場所がある新しい手帳を探していたが、Amazonを覗いてみたらとてもかわいい手帳があった。しかもギラギラのUFO柄。良い。でも、手帳は実物を見てから決めたい。もし文房具屋などを回って気にいるものが見つからなければ、この手帳を買うことにしようと思う。
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9/25
生まれて初めてボルシチやフルーツサンドを食べた。よそられたボルシチを見て、本当に赤いんだ!と感動した。ビーツ自体は色のついた大根っぽい。ベースはコンソメのような野菜のだしがきいた味で、お好みで入れるサワークリームか牛肉、もしくは両方から脂のコクが出ていておいしい。
フルーツサンドは、様々な果物がホイップクリームやカスタードクリームと一緒に挟まれている、普通のコンビニで売られているものだ。自分では手に取らないからわからなかったけれど、フルーツサンドは鎮座しているだけでかわいい。ふわふわの食パンに柔らかくて甘いクリームが挟んであるだけで幸せになれるのに、果物まで入っているのだ。美味しくないわけがない。未知の料理は新鮮な気持ちになれて良い。
散策をした。大きいカマキリがいた。捕まえたのち離したら翅を広げて威嚇された。様々な虫を捕まえる癖がある。これは蝶の写真。
ペットショップ?ペットホテル?のような建物の前を通ったら、ガラス越しにルリコンゴウインコが見えた。大きくて派手!
知らない植物も見かけた。なんとなく種類が判別できたら追記したい。
お城の堀に通りがかったところ、白鷺が水の中を歩いては、何かをつついていた。木の上には黒い鳥が翼を広げていた。おそらく川鵜なんだろうな、と思う。堀の中には亀やら鯉やらが遠く泳いでいるのが見える。写真の下側に赤く見えるのが普通の鯉だ。明らかに大きく、普通の鯉の4倍はありそうな魚影が中央右に見えるかと思う。きっと堀のヌシだ。
お城には出店があった。猪と雉と鹿の串カツを売っているお店があったので、一つずつ食べてみることにした。猪は牛と豚の中間っぽい味で、少し羊みたいなクセがある。雉は弾力があって旨味の強い鳥もも肉に近い。鹿は豚肉に近い気もするが、ものすごくさっぱりしている。どれもおいしかったが、個人的には雉が1番好きだ。雉も鳴かずば撃たれまいとは言うが、こんなに美味しい鳥があんなに地面を横断していて、その上大声で鳴いていたら撃たれるな、という納得があった。
他にもピリ辛の玉こんにゃくをつまんだり、冷たい抹茶を飲んだ。冷たい抹茶はそれだけでもおいしかったが、茶菓子もつけることができたので、頂くことにした。軽石みたいな質感の、赤と白の茶菓子を食べた。赤い方は木苺味で砕いたアーモンドが入っている、メレンゲとアーモンドプードルを焼いたのかな?という雰囲気の菓子。白い方は前者の木苺やアーモンドを抜いた軽めの菓子だった。抹茶にしては随分と洋風な菓子が出てきたのが、意外で面白かった。
映画『シン・ウルトラマン』を観た。シン・ゴジラと同じくゴジラやウルトラマンにも焦点が当てられるが、災害に面した人間が努力する話が主だ。人間のことが嫌いだしあまり好みではないのかもな、という内容だったが、それでも楽しく観ることができたので、とても面白かったんだと思う。
冒頭部が1番好きかもしれない。ウルトラQの音楽が流れ、ものすごい量の情報量が垂れ流されるシーン。とてもわくわくさせられた。
単純に好みの問題なのだが、着ぐるみ!地響き!怪獣プロレス!というものの要素があまりないのが残念だった。ウルトラマンはベーターカプセルの力を使いこなしているので、浮遊もするし着地も滑らかなのだ。
メフィラス星人は着ぐるみ然とした愛嬌がなくなって、それこそエヴァンゲリオンみたいなフォルムになっていてショックを受けたし、ゼットンもFGOの異聞帯アルテミスみたいになっていた。
面白い映画だと思うし人にも勧めたくはなるのだけれど、それはそれとして私の好みとは違う映画だと思う。でも確実に観て良かった映画だ。実はまだエヴァンゲリオンを観たことがないのだが、同じ状態にならないか今から不安だ。
本屋にムーミンのニョロニョロのルームライトが売っている。見るたびに欲しい気持ちになるのだが、割といいお値段なので手を出せていない。部屋に光るニョロニョロがいたら、きっとご機嫌になれると思う。
9/24
気圧が下がったのち、上がる変わり目で具合が悪くなることがある。今朝は丁度変わり目だったらしく、朝5時に「階段に大きいワンワンのぬいぐるみが投げ捨てられるように落ちており、戻してあげなきゃな、と思っているとぬいぐるみが動き出し、人間の着ぐるみをかぶりはじめる」という悪夢を見て起きた。なんなんだろうこの夢……。
朝ごはんには、ランチパックのいもあん&マーガリンをホットサンドメーカーで焼いたものを食べた。焼かれて香ばしくサクサクした食パン部分と、あったかい芋あんとマーガリンが甘くておいしい。幸福の味がする。牛乳も一緒に飲んだ。
いつも、ダイソーのUR Glamアイブロウペンシルを使っている。偶然予備のものを切らしてしまったため、viseeのアイブロウペンシルのピンキッシュブラウンを買った。髪色を今暗めにしているからか、前に使った時よりめちゃくちゃ明るく発色して困った。
龍騎11〜12話が21時からプレミア公開されていた。毎週なるべく観るようにはしているのだが、気圧の関係かこの日は相当眠かったらしく、12話でかなりうつらうつらしてしまった。不覚……。
9/23
今日は朝食を食べつつ先日の日記を書いた。小学生のとき、週末に日記の宿題があったかと思う。この文章を書いていて、あの宿題に特筆すべきことがなければ「日記を書いています」という日記をつけたことがあるのが思い出される。
家では5枚切りの(しかも四角くない)食パンというのはなんとなく贅沢なもので、いつもは8枚切りの安い食パンを買っている。サンドイッチだとか、ホットサンドにするときに薄い方が便利なのだ。ゆえに、5枚切りの食パンというのは、何かを挟むのではなく「食パンを食べるぞ!」という気概を感じさせる。
いつもの食パンよりいくらか分厚い食パンを、トースターで焼き、バターを塗り、三井農林の「ミルクとけだすティーバッグ」でミルクティーを淹れた。初めてこのティーバッグを使ったときの衝撃は計り知れない。牛乳が必要ないことも、甘くないので自分で砂糖を入れるところも気に入っている。久しぶりの少し厚めのトーストは贅沢な味がした。友人(友人の知り合いだったかも)が牛の腸に手を突っ込んだときに高級なソファみたいだった、と言ってたのを思い出した。ふかふかしている。
お昼には、祖母の作ってくれた芋汁と玄米のおにぎりを食べた。芋汁には皮の剥かれた大きい里芋や味の染みた大根、糸蒟蒻やなめこや出汁にされた雰囲気のある肉のかけらなどが入っていた。汁に大根や肉の出汁が染み出ていてとてもおいしかった。玄米のおにぎりに味をつけてくるのを忘れたため、汁の中に玄米を入れ、ねこまんまのようにして食べた。
また、貰い物のクッキーも食べた。ざくざくしたバターを感じる塩気の効いた生地がおいしい。口の中で分解していく感じが、最初は砂利や砂っぽく、噛んでいるうちに土や泥といった趣になる。なんとなく塩キャラメルみたいな風味もして、香ばしくて美味しかった。
湯船に浸かりながら、岡本かの子『鮨』の朗読を10分ちょっと聞いた。先日読んだ『もの食う本』で紹介されている本!と思い、朗読を聴いてみたのだけれど、やっぱり苦手意識がある。耳から入ってくる音は、意味を判別するのに時間がかかる。自分の思っていることですら一回書き出して文章にして、ようやく飲み込める部分があるので、聴いただけで文章を理解するのに向いていないのかもしれない。
『もの食う本』でも引用されている部分の、「塩さんまを使った押鮨で、おからを使ってほどよく塩を脂を抜いた」という描写はとても美味しそうだった。続きを聴くかはわからないけど、聴いて良かったと思う。