『リップヴァンウィンクルの花嫁』を観ました
昨日、GYAOでちょうど配信されていた『リップヴァンウィンクルの花嫁』を観ました。いつもは視聴順に感想を書いているのですが、配信が今日まででそもそも映画が3時間あるので、今書かなくては……と思い書いています。
↓『リップヴァンウィンクルの花嫁』(2020/11/6まで見れます)
この映画のタイトルをなんとなく知っていたのは、ふじのやまい編著『「百合映画」完全ガイド』(星海社新書、2020年)でこの特徴的な名前を見たことによるものだと思います。
↓ふじのやまい編著『「百合映画」完全ガイド』(星海社新書、2020)
あらすじとしては、黒木華演じる皆川七海はネットで知り合った男とあっさり結婚するも浮気を疑ったら逆に疑われて離婚、結婚式の際に使った代行出席サービスをしている安室に頼り、ホテルに泊まりながらそこの手伝いや代行出席をしていると住み込みメイドの仕事があると教えられ、そこで働くことになります。その屋敷には先輩メイドがおり、偶然にも結婚式の代行出席の仕事で「姉」であった里中真白で、二人は面白おかしく屋敷の片付けをしたり遊んだりして過ごしていくが、という話になっています。
何より三時間あるので好きかどうか判別するまで時間がかかったのですが、私は好きでした。強いて言うなら最初の結婚〜浮気シーンがつらいのと最後がよくわからないかなと。
結婚式のシーンですが、どうしてこう結婚の出し物ってこんなに共感性羞恥を煽られ辛いんだろう……という気持ちと「これ『来る』でも見たぞ!??!?」の気持ちが交互にきます。黒木華、結婚するもしあわせな生活を営めない役をやりがちなのかな……。
浮気を疑ったら逆に疑われた離婚されるシーンもそこそこつらいですが、代理出席サービスの綾野剛演じる安室が信頼できない語り手なので真相がいまいちわからないというか。
離婚し家から放り出されると、住むところもなくなった七海が放浪するシーンが
クラシックとともに流されます。ここ、美しいシーンなんですけど「クラシック流しとけばいい雰囲気になると思ってるのか!?」と同時にキレてしまった。クラシックが流れるのがこのシーンだけだったら永遠にキレていたと思うんですけど、他の美しいシーンでも流れるのでそのようなことはなかったです。キレてごめん……。
その後住み込みメイドを始めるわけですが、メイド服を着る七海を見た瞬間に「黒木華にクラシックなメイド服を着せたい欲求だ!」と思いました。実際めちゃくちゃ似合うんですよね。先輩メイドの真白と面白おかしく暮らしていくわけですが、この日々が七海にとってほんとうに楽しそうで、前半の結婚で手に入れられなかった幸福な日々がここで手に入るようになります。
一番美しいシーンなのですが、二人は仲良くなりついに真白と七海が一緒に出かけている時にウェディングドレスの試着をして記念撮影をします。幻の指輪を互いにはめあって、擬似的な結婚式をして笑い合う二人。そしてドレスのまま帰って二人で眠りにつくのです。
住み込みメイド〜ここの加点ポイントが半端ないのでこの映画が大好きになってしまいました。空気感も好きなのですが。勢いがない映画だとこういう空気感のあるものが好きで、『ブエノスアイレス』とかもこの枠です。
最後のシーンでよくわからなくなっちゃったのですが、真白の母と安室が脱ぎはじめて裸になってしまうんですよね。おそらく感動的なシーンなのですが、そこだけ置き去りになってしまいました。人が裸になってるとどうしても絵面的に面白くて……。
『リップヴァンウィンクルの花嫁』個人的にすごくおすすめです。住み込みメイドをはじめてからが本番なので頑張ってそこまで見ていただければ。