雑記

好きな映画は『お嬢さん』『青い春』『ピンポン』『天気の子』です

『チワワちゃん』を観ました

予告がめちゃくちゃ美しくて気になっていた『チワワちゃん』を観ました。

 

バラバラ殺人の被害者として報道されている子が実は一緒に遊んでいた「チワワちゃん」で、実はチワワちゃんの名前も知らないな、と思った主人公が他の仲間に彼女のことを聞いてまわるという、ほぼ回想で作られている映画。

 

結構主人公の語り口もあり淡々とした雰囲気で進んでいきます。主人公から見たチワワちゃんは「青春の自爆テロ」で、好きだった人が連れてきた彼女で、主人公が趣味で写真を撮ってインスタにあげていたのを真似してはやすやすと追い越す人間で、そういう複雑な感情を抱いた友達で。「青春の自爆テロ」、いきなり単身で飛び込んできてはそこにあったものを破壊して自分を注目の的にしてしまう人のことだよな、となる。少なくとも良い感情しか持ってない人間にこういう形容はしなくて、そういうバランス感覚があるような気がしています。

 

バーで知り合った主人公たちは政治家に横流しされる金を盗み逃走した翌日、その横流しをしようとしていた本人たちが逮捕されて盗んだお金で豪遊する。そこからプールだとかまわるベッドだとか、豪遊する刹那のような日々が映像として流れていくのですが、ここでチワワちゃんとユミという女の子のプールでのキスシーンがとても美しいんですよね。プールは足がつかない深さで、チワワちゃんは泳げないのでユミにしがみつかないと溺れてしまうわけですが、その状態でユミに対してキスをする。ユミは拒まずに受け入れる。許しと抱擁なんですよ。これがたびたび映画の中でフラッシュバックのように流れるのですが、そのたびにあまりにも美しいシーンなことを再確認してしまいます。

 

豪遊シーン、個人的にお金を浪費すると現実的になってしまうのでそんなに好きではないのですが、それはそれとして画面があまりにも綺麗なので許容されてしまうんですよね。

 

そのあとは仲間達のそれぞれからチワワちゃんがどのように見えていたかが語られ、結局犯人も見つからず(これが一番びっくりしました、ミステリで動機があるんだと思っていた)チワワちゃんに対する動画で締めくくられる。でも湿っぽいものではなく、すごく爽やかな、どこかでまだチワワちゃんがいきているような終わり方で不思議な気持ちになります。終わってからも不思議な映画だったな、と考えてしまう。視聴後にその映画に想いを馳せてしまうのは個人的には良い映画なんだと思っています。

 

R15なだけあって結構直接的な早回し乱交シーン(ちょっとギャグっぽい)だとかレイプシーンなどがあるので、性的なものが苦手な人には厳しいかもしれないです。あと結構陽キャというかパリピ的なのでそういうノリが苦手な方とか。

 

『チワワちゃん』ですが、一瞬の青春の煌めきとその破滅を感じたい方におすすめです。私は好きでした。