雑記

好きな映画は『お嬢さん』『青い春』『ピンポン』『天気の子』です

『青い春』を観ました

10/31でアマゾンプライムの見放題から『青い春』が消えてしまうと知り、見納めを行いました。

 

これ、本当にすごい映画なんですよね。不良高校の生徒が鬱屈しながらも日々を送るんですけど、将来の夢があった人間がそこまで辿り着けず、何も考えていなかった人間がそのまま残ったりだとか。

 

学校が好きなのに人を殺してしまったとか、殺されてしまったとか、中退したとか、死んでしまっただとか、色々なもので友人たちが散り散りになっていくんですよ。咲くことのなかった夢たち。でもこの高校の校長先生は「花は枯れるためにあるんじゃなくて咲くためにあるんです」と励ましてくれる。しかし、しかしの物語なんですよね。

 

退屈な日々を過ごしている主人公の九條が、幼馴染の青木といかに美しい青春を過ごしていかに決裂していくかの話なんですけど、ラストのシーンでかかるTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのドロップがすごいんですよ。これがプレイリストからランダム再生で流れると頭をぶん殴られた気持ちになる。青い春のことは忘れてしまってもこのシーンのことだけは一生覚えてるのではないか、と思います。

 

この話は「幸せなら手をたたこう」をベースに作られているけど最後の青木は九條に勝てて幸せだったのかな……と考えてしまいます。でもそれしか賭けるところがなかったんだろうなとも。ここに出てくるキャラクターは皆思春期独特の危うさと不安定さを持っていて、だからこそ破滅してしまう。物語を俯瞰していた少年だけが生き残る。そういう……。不安定で危うくて何を考えているかわからない少年として松田龍平がキャスティングされているの本当に良くて、あのときの松田龍平演じる九條の美しさこそ一瞬のきらめきだと思ってしまいます。

周りの大人たちが主人公たちに優しいところも残酷なところなんですよね。

 

あと地味に好きなところ、階段でいつもたむろしているシンナー中毒の学生としてピース又吉が出ているんですけど、なんか面白いのか無表情なのかわからない感じでずーっとぶつぶつ一人で喋っているんですよね。高校生には見えないけど役柄に合っていて良かった。

 

あと暴力シーンも不良ものなので多いんですけど、痛そうなのもありますが何故か爽やかなんですよね。直接の暴力が映らず血が映る感じ。ガメラで血の付いたメガネが落ちる描写みたいな。

 

今回は2回目なのでましでしたが、初めて観たときすごく死にたくなったんですよね。大好きな映画なのですが、精神状態が良い時に、視聴後に何かを話せる相手がいる状態で観るのがおすすめです。